臨済宗(りんざいしゅう)
中国から日本に伝わった禅宗の一派で、坐禅と「
公案(こうあん)」と呼ばれる師匠からの問いかけを通して自己を究明し、悟りを開くことを目的としています。鎌倉時代に
栄西が中国から伝え、多くの分派に枝分かれしています。
曹洞宗(そうとうしゅう)・
黄檗宗(おうばくしゅう)とならぶ日本三大禅宗の1つに数えられます。
- 禅宗の一派(曹洞宗・黄檗宗と並ぶ三大禅宗)
- 中国での開祖:臨済宗の祖は、唐の時代の僧侶である臨済義玄(りんざいぎげん)
- 日本での開祖と伝来:鎌倉時代の僧侶である栄西(千光法師)が中国(宋)から臨済宗の教えを伝え、広めた。(建仁寺の開山)
- 本尊と経典:特定の本尊は定められていませんが、釈迦如来を祀ることが一般的で、これにちなんで「南無釈迦牟尼佛」と唱えます。特定の経典は定められていませんが、「般若心経」などが読まれることがあります。
- 修行の中心:看話禅(公案を参究する坐禅)
- 目的:見性(けんしょう)=本来の自己の仏性に気づくこと
- 宗派構成:鎌倉末期から室町時代にかけての五山制度を経て、14の「派」がそれぞれ独立した本山を持つ「十四本山」体制。
お題目
南無釈迦牟尼佛(なむしゃかむにぶつ):「お釈迦様に帰依します」という意味の仏教の言葉で、
禅宗(
天台宗、
曹洞宗など)で読経の最初に唱えられる
念仏や
宝号です。サンスクリット語の「南無(namas>>)」は「帰依します」「全てお任せします」という意味で、「釈迦牟尼仏(シャーキャムニブッダ>>)」は
お釈迦様の尊称です。
本尊は
釈迦牟尼仏を祀ることが多く、「南無釈迦牟尼仏」と唱えますが、特定の経典を定めず、修行を通じて悟りを目指すことが特徴です。
- 曹洞宗と同じく座禅で悟りを開き、知識ではなく、悟りを重んじています。
- 日常生活の一挙一動のなかに道の働きがあり、平常心こそ道とします。
- 理想を求めず日常生活のなかにこそ道があると教えています。
- 師から弟子への悟りの伝達(法嗣、はっす)を重んじる。
- 坐禅(看話禅 / かんなぜん):坐禅を通じて悟りを追求しますが、単に座るだけでなく、師匠から与えられる難解な課題(公案/ こうあん)に挑み、頭で考えるのではなく全身全霊でその問いに向き合い、自己の奥底にある尊厳や悟りを究明する禅問答を行います。
- 自力と自己究明:悟りは他者に与えられるのではなく、自身の内にある仏性を「自力」によって悟ることを重視します。
- 武家社会との結びつき:鎌倉時代以降、武家社会を中心に広がり、茶道などの文化にも大きな影響を与えました。
- 文化への影響:禅宗寺院は、庭園、茶道、書、絵画などの日本文化の発展に大きく貢献しました。

中央:釈迦如来 向かって右:無相大師 向かって左:花園法皇
宗派
臨済宗には14の派があり、それぞれの本山を派の名前としている。
妙心寺派:大本山
妙心寺(京都)
建仁寺派:大本山
建仁寺(京都)
建長寺派:大本山
建長寺(鎌倉)
天龍寺派:大本山
天龍寺(京都)
円覚寺派 : 大本山
円覚寺(神奈川県鎌倉市)
南禅寺派 : 大本山
南禅寺(京都市左京区)
東福寺派 : 大本山
東福寺(京都市東山区)
方広寺派 : 大本山
方広寺(浜松市浜名区)
永源寺派 : 大本山
永源寺(滋賀県東近江市)
佛通寺派 : 大本山
佛通寺(広島県三原市)
相国寺派 : 大本山
相国寺(京都市上京区)
向嶽寺派 : 大本山
向嶽寺(山梨県甲州市)
大徳寺派 : 大本山
大徳寺(京都市北区)
國泰寺派 : 大本山
国泰寺(富山県高岡市)
焼香:臨済宗では、一般的にお香をつまんだ手を額まで押しいただきません。 焼香の際には、香炉の前で一礼し、右手親指、中指、人差し指の3本の指でお香をつまみ、そのまま1回香炉にくべます。
線香を立てる本数は、通常1本です。香炉の真ん中に線香を折らずに立てるのが基本的な作法で、宗派によって異なりますが、1本は「仏の教えは一つだけである」「一心に祈る」といった意味が込められているとされています。
おりんは三回鳴らす。
仏壇:南面北座説という考え方があり、仏壇は南向きに配置することが推奨されます。
●臨済宗妙心寺派の焼香作法
- ① 焼香台の前に進む
数珠を左手にかける(片手念珠でも正式念珠でも可)
軽く一礼して香炉の前へ
- ② 香をつまむ
右手で香をつまむ
左手は添える程度
押し頂かない(額に上げない) → 禅宗は「形より心」を重んじるため、動作を簡素化している
- ③ 香炉に静かに入れる
1回のみが妙心寺派の標準
香を静かに香炉へ落とす 強く振り落としたり、音を立てない
- ④ 合掌
香炉の前で軽く合掌
故人への追善と心の静まりを意識する
長く合掌する必要はない(禅宗は簡潔)
- ⑤ 一礼して席へ戻る
焼香台から下がる際に軽く一礼 静かに席へ戻る
- 臨済宗妙心寺派の焼香が「1回・押し頂かない」理由
・禅宗は「形より心」「簡素・静寂」を重視
・香を額に上げる所作は「祈りの形」を強調するため、禅の精神とは少し異なる
・妙心寺派は特に「簡潔な作法」を重んじる傾向が強い
・関東(茨城・千葉・東京)では禅宗の焼香はほぼ 1回で統一されている
●臨済宗妙心寺派の家庭の仏壇でのお参り
- ① 仏壇の前を整える まず仏壇をきれいにして、仏様にお供えをします。
日常のお参りでは仏飯・お茶・お湯を供え、ローソク、線香を用いる。
- ② ローソクに火を灯す 仏壇の前に正座し、ローソクに火を灯します。
- ③ 線香を1本立てる 臨済宗では、家庭での線香は1本とするのが一般的です。 線香は折らずに、香炉の中央に立てます。
- ④ 合掌する 数珠を持っている場合は、左手に掛けてから合掌します。 そして静かに、 「南無釈迦牟尼仏」 (なむしゃかむにぶつ) と唱えてもよいです。臨済宗では釈迦如来を本尊とすることが一般的です。
- ⑤ 礼拝する 合掌したまま、静かに頭を下げます。
- 栄西(えいさい、ようさい):平安時代末期から鎌倉時代初期の僧。日本における臨済宗の宗祖、建仁寺の開山。天台密教葉上流の流祖。字が明菴、諱が栄西。また、廃れていた喫茶の習慣を日本に再び伝えたことでも知られる。
- 宝号(ほうごう)とは、仏・菩薩・明王・天などの名前に対する尊称で、特に真言宗において「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」のように、仏への帰依を示す言葉を指します。これは仏の功徳を称える「名号」の別称であり、主に「南無(なむ)+仏の名前」という形式で唱えられます。
- 公案(こうあん)とは、禅宗(特に臨済宗)において修行僧が悟りを開くために取り組む、論理を超えた課題や問いのことです。元は「役所の公文書」を指す言葉で、師が弟子に与える「絶対的な基準」を意味します。論理的思考を打ち破り、執着から離れて真理をつかむことを目的とし、有名[なものに「隻手音声(せきしゅおんじょう)」や「無字の公案」があります。
- 看話禅(かんなぜん)とは、臨済宗を中心に伝わる、公案(禅の課題)を参究して悟りを目指す座禅の修行法です。師から与えられた「無」などの公案を問い続け、論理的な思考を超えた瞬間に仏性(本来の自己)に気づくことを目指します。静かに座る「黙照禅」とは対照的な「動」の禅です。
- 七慢(しちまん)とは、仏教において人間が抱く「おごり」や「うぬぼれ」の心(慢心)を7つのタイプに分類したものです。他者と比較して自分を優位に見たり、謙虚さを欠く心を指し、根本煩悩の一つとされています。日常の「我慢」も本来はこの「我慢(がまん)」という驕りの心に由来します。
慢(まん):自分より劣っている人に対して優越感を抱く。
過慢(かまん):自分と同等の人に対して「自分の方が上だ」と高ぶる。
慢過慢(まんかまん):自分より優れた人に対して「自分の方が上だ」とうぬぼれる。
我慢(がまん):自我に執着し、自分を相手よりすぐれていると思い上がる(現在使う「耐える」の意味とは異なる)。
増上慢(ぞうじょうまん):悟りや能力をまだ得ていないのに、得たと思い込む。
卑慢(ひまん):自分よりはるかに優れた人に対し「たいしたことはない」と見下す。
邪慢(じゃまん):徳がないのに、自分にはあると誇る。
- 日本の主要宗派:総本山・大本山一覧
- 瑞巌寺・宮城県
- 圓藏寺・福島県
- 根本寺・茨城県
- 円覚寺・神奈川県
- 建長寺・神奈川県
- 向嶽寺・山梨県
- 国泰寺・富山県
- 金剛證寺・三重県
- 銀閣寺 慈照寺・京都府
- 高台寺・京都府
- 智恩寺・京都府:日本三文殊のひとつ
- 一畑薬師(一畑寺)・島根県
- 佛通寺・広島県
- 11番札所 金剛山 一乗院 藤井寺・徳島県
- 33番札所 高福山 幸福院 雪蹊寺・徳島県